
消防用の設備には消火器や火災警報器などがあり、火災が起きた時に初めて活用されます。
火災は起きてほしくないですが、いつ起きるかわからないので、保険と同じように備えておく必要があります。
1棟アパート購入に際して、管理会社で行っていた消防用設備等の点検報告を自分で行い、コストを削減することができましたので紹介したいと思います。
今回、自分で点検を行うことにより、年間6万円のコストを削減できました。
しかも点検自体は10分程度でできたので、非常にコストパフォーマンスの良い取り組みです。
さっそく紹介したいと思います!
はじめに消防設備等点検報告制度とは?

火災から建物を守るためには、消防用設備等が常に機能を発揮できる状況でなければなりません。
そこで消防用設備等を定期的に点検して維持管理を行うことと、その結果を消防署長に報告することを消防法によって義務付けています。(消防法第17条の3の3)
消防法により消防用設備等の設置が義務付けられている関係者(所有者・管理者・占有者)は、設置されている消防用設備等を定期的に「点検」し、その結果を「報告」しなければなりません。
消防用設備等の点検報告が必要な建物とは?
アパートやマンションなどの共同住宅で延床面積が150㎡以上のものには、消防法により消防用設備等の点検および報告が義務付けられています。
なお、150㎡以下のアパートは法的には対象外となっています。
混乱するといけないので、本記事で説明するアパートは延床面積200㎡のアパートを想定しています。
消防用設備点検を自分で行っても問題ないの?

基本的には有資格者による点検を推奨されていますが、一定の条件を満たせば有資格者でなくとも点検報告は問題ありません。
一定の条件については東京消防庁のホームページを参照すると下記のように記載されています。
基本的には、消防設備士又は消防設備点検資格者に依頼し、点検を行って下さい。
ただし、次の①②のいずれにも該当しない建物については、法律上資格者以外の者でも点検することができますが、点検時の安全面などを考慮し、東京消防庁では資格者による点検を推奨しています。
①延べ面積1,000㎡以上の建物
②地下又は3階以上の階に特定用途(物品販売店舗、ホテル、病院、飲食店など不特定多数の人が出入りする事業所等)があり、かつ、屋内階段が一か所のみの建物
小規模なアパートであれば、延床面積1,000㎡以上となることはほぼないので、自ら点検が可能となります。
なお、共用部分が屋外となる屋外階段の場合は、上記②には該当しないため、こちらの場合も自分で点検報告することができます。
小規模なアパートの場合、消火器と誘導が必要になると想定されますが、消火器と誘導灯のみであれば、10分程度で点検できます。
一方で、1棟マンションとなると規模が大きく延床面積が超過したり、消火器や誘導灯以外にも火災報知器や避難はしごなど他の消防用設備が必要となります。
上記の場合、有資格者が対応しなければならなく、業者に依頼することになるかと思われます。
どうやって点検報告するのか?
消防設備等の適正な配置、損傷の有無などを外観から点検することになりますが、具体的な点検・報告方法は消防庁が出している「自ら行う消防用設備等の点検報告」を参照するのがベストです。
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火災予防 | 火災予防等 | 総務省消防庁
www.fdma.go.jp
こちらはパンフレット形式で紹介されておりとても分かりやすいです。
パンフレットを参考にしながら所定箇所を外観確認し、報告書の記入例の通り、記述するだけです。
またアプリ版もあり、こちらを使うと消火器や誘導標識などの点検結果の保存と報告書類への反映をすることができます。
消防用設備の管理もすることもできるため、管理人はこのアプリを使用しています。
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消防用設備等点検アプリ | 防火対策の推進等 | 総務省消防庁
www.fdma.go.jp
ただし注意点として、加圧式消火器の場合は製造から3年、蓄圧式消火器の場合は製造から5年が経過した場合は、機器点検の際に消火器を分解しての内部点検が必要となります。
この場合、専用の工具や機材が必要となりますので、有資格者へ点検を依頼することとなります。
消化器自体に「製造年」「設計標準使用期限」「使用有効期限」などで記載されているのでチェックしてみるといいでしょう。
もし有資格者に依頼するようであれば、消火器を取り替えた方が手っ取り早いのです。
5,000円/本、製造年5年未満で交換なので、ランニングコストも高くありません。
そのため、だいたい4年に1度くらいのペースで消火器を新品に交換すれば、消防設備等の点検報告は自分で行うことができます。
消火器自体はホームセンターでもAmazonでも取り扱いがあります。
参考までに管理人が購入した消火器を載せておきます。
ホームセンターで買い替えれば、古い消火器を無償で引き取ってもらえる可能性もあるため、事前に確認するのもよいでしょう。
既に消火器の交換期限が過ぎていて処分する必要がある場合は、消火器リサイクル推進センターのホームページに記載されている廃棄方法に従って廃棄してください。
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処分の手順 | 消火器リサイクル推進センター
www.ferpc.jp
消防用設備等点検アプリ(試行版)の具体的な使い方
アプリでの点検報告手順は以下の通りとなります。
ベースとなるのは先ほど紹介した「自ら行う消防用設備等の点検報告」となっておりますが、アプリ画面に表示されている内容を見ながらでも十分点検することができます。
それでは紹介していきます。
初期設定を行う
初期設定メニューより「建物の情報を登録する」「消防用設備等情報を登録する」「点検者情報を登録する」の3点を入力します。


点検を実施する
消火器の例となりますが、アプリの表記に従って順に点検を進めていきます。
適合の例・不適合の例が図で示されており、何を確認すればよいのかわかるものとなっています。

点検結果を出力する
点検が完了すると、点検結果をPDF形式として出力することができるようになります。
こちらを印刷して届け先となる消防署に提出すれば完了です。

点検頻度と報告頻度は?
点検報告を怠った場合どうなるか?
✓ 点検頻度
点検頻度は半年毎の点検となります。
点検結果が不合格であった場合は、不具合の是正を行いましょう。
✓ 報告頻度
そして報告頻度は3年に1度であり、消防署へ報告が必要となります。
アパートなどの共同住宅は非特定防火対象物に分類され、非特定防火対象物の報告頻度は3年に1度となります。
なお、特定防火対象物の場合は、1年に1回の報告が必要となります。
特定防火対象物例はホテル、病院、飲食店、コンビニなど不特定多数の人が出入りする建物で、店舗が入っている場合は注意が必要です。
✓ 点検報告を怠った場合
点検結果を報告しない、虚偽の報告をしたなどの違反をすると、30万円以下の罰金又は拘留の可能性があります。(消防法第44条)
まとめ
今回は1棟アパートで自ら消防点検を行った内容について記載しました。
維持管理コストがかかる一方で、消防設備は日常的に使用されなく優先度が下がりがちです。
しかし万が一、火災が起こった時に消防設備が作動しないなんて事があれば大変な事態になります。
安全第一の観点から消防設備点検は必ず行うようにしましょう。
ほとんどのアパートは消防設備等点検報告が必要となりますが、消火器と誘導灯のみであれば、10分程度で点検できます。
パンフレットやアプリを参考にしながら点検することができ、報告も3年に1度でよいので負荷もそれほど大きくないのではないでしょうか。
毎年かかるコストの削減につながりますので、是非とも取り組んでみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。