
今では誰もが知っている「ふるさと納税」
「ふるさと納税」は、20~30代でも気軽にできる税金対策として、近年人気が高まっています。
2008年に創設された当初は制度の詳細はあまり知られていませんでしたが、数年前からテレビをはじめとする様々なメディアで取り上げられ、認知度が一気に高まりました。雑誌やテレビでも特集が組まれ、返礼品の人気と節税効果を背景に、年々利用者が増えています。
総務省の調査によると、平成21年度から始まった「ふるさと納税」制度は直近2年度で利用者が増え、平成28年に利用した人は225万人と、平成27年度に比べると5倍以上に急増しています。
しかし、「返礼品が魅力!」「税金がお得!」などと取り上げられる割には、実際に利用している人はまだ少数派で、
「制度がよくわからない」「手続きが面倒そう」などといった理由で利用していない人の方が圧倒的に多いようです。
社会貢献と節税ができて、返礼品の楽しみもある「ふるさと納税」、賢くお金を生かしたいなら使わない手はないと思います。
そこで、今回は20~30代が資産形成や運用を考え始めていくうえで、税金対策として人気の「ふるさと納税」について解説していきます。
この記事でわかること
・「ふるさと納税」とは何か
・「ふるさと納税」はなぜ利用した方がいいのか
・「ふるさと納税」のポイント・メリットや注意点
ふるさと納税とは?

多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。
しかし、その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。
そこで、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」、そんな問題提起から始まり、数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税制度です。
「ふるさと納税」が誕生した経緯は2006年の日本経済新聞夕刊のコラム記事がきっかけでした。
「地方見直す「ふるさと税制」案」というコラムが、一部の政治家が取り上げたことで議論が活発になりました。
税収の減少に悩む自治体や、地方間の格差をどうすれば活性化していけるのかが論点となり、 2006年に当時福井県知事だった西川一誠が「故郷寄付金控除」を提言したことから、この「ふるさと納税」の発案者だと言われています。
「ふるさと納税で日本を元気に!」というキャッチフレーズで2008年からスタートした「ふるさと納税」。
「ふるさと納税」は、「納税」という言葉がついています。しかし、実際には、都道府県、市区町村への「寄附」のことです。
一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されますが、ふるさと納税は原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。
当初は控除適用者数が約33,000人で、ふるさと納税額は約72億円でしたが、2015年4月から「ワンストップ特例制度」が設けられ、そこから利用者が増加し、2018年には過去最高となる控除適用者数が約395万人、そしてふるさと納税額は約5,127億円まで増加しました。
また、最近ではテレビやCMそして雑誌などに取り上げられることも増え、利用者がどんどん増えています。
では、ふるさと納税はなぜ利用した方がいいのでしょうか。
ふるさと納税はなぜ利用した方がいいのか?

先述しましたが、「納税」は税金を納めるイメージですが、実際に行うのは、都道府県や市町村(自治体)への「寄附」です。
自分の税金の一部を使い、「故郷を元気にする」「賛同する自治体を応援する」制度として創設されました。
選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)すると、2,000円を超える寄附金額は、所得税と住民税から控除して(差し引いて)もらえるので、節税になります(一定の上限はあります)。
例えば、平成29年1月から12月の給与収入(税込年収)が400万円の会社員(独身)の場合、42,000円が控除の上限になります。
42,000円まで寄附すると、2,000円を除く全額を所得税・住民税から控除することができます(所得税は平成29年度分から、住民税は平成30年度分から)。
また、控除できる上限額は、収入や家族構成によって異なります。

出典:総務省ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税の概要より
さらに多くの人にとって魅力的なのが、寄附への感謝の気持ちとして自治体が用意する様々なお礼の品々、「返礼品」です。
普段はなかなか手に入らない特選和牛、完熟フルーツ、港直送の鮮魚、地ビールなどのグルメや伝統工芸品、温泉利用券、家電品などが用意されています。
ふるさと納税で寄付したお金の2,000円を超える部分については、原則として全額控除対象となります。
つまり、寄付する側の実質的な負担は2,000円。実質負担2,000円というのは、ふるさと納税で自治体に寄附をした金額のうち、2,000円を超える金額が、翌年に住民税や所得税といった形で返ってくるという意味です。
自治体が用意している返礼品に2,000円以上の価値があれば、その差額分がお得になるという仕組みで、ふるさと納税した分のお金は、寄附金控除として節税することができます。
たとえば、年間で10,000円をふるさと納税した場合、寄附金控除になるのは8,000円です。年間50,000円だったら、控除は48,000円です。
寄附金控除になる上限額は人それぞれ異なりますが、ふるさと納税した方が節税になりますので、ふるさと納税は利用した方がいいということになる訳です。
ふるさと納税のポイント・メリットとは?

豪華な返礼品がもらえる
日本各地の名産品を楽しめるのも、ふるさと納税の魅力のひとつです。
多くの自治体では寄付への感謝として、地域の特産品や名産品が自治体から送られてきます。
「返礼品」の内容は、お肉に海産物、お米に野菜、加工食品にスイーツ、地元のお酒や、旅館やホテルの宿泊券など種類も豊富で、金額や地域に合わせてさまざまです。
自治体にとっても「お礼の品」を通じて、地域の名産品や産業を全国の人に知ってもらえる貴重な機会にもなっているのです。
ただし、お礼の品は義務というわけではないので、災地支援などの寄付の場合はお礼がない自治体もあります。
ポイントがもらえる
最近はふるさと納税をした場合に、返礼品ではなくポイントを付与する自治体も登場してきています。
ポイントに応じて、インターネットやカタログから返礼品を選べるので、まずはポイントを貯めておいて、まとめて使うのもいいですね。
まとめれば、より素敵な特産品にも手が届きます。
付与されたポイントの有効期限はそれぞれ異なりますので、有効期限切れにならないようしっかりチェックをしておきましょう。
ふるさと納税の支払いは、コンビニ払いもできますが、クレジットカード決済がお得です。
たとえば、30,000円の返礼品を選んだら、カード利用額に応じたポイントが貯まります。
貯まったポイントが使いやすいクレジットカードに支払いをまとめて、どんどん貯めていきましょう。
いつも買い物をしているお店で使えるポイントなら、利用価値が大きいですね。
また、ふるさと納税の寄付を受け付けているサイトは多数ありますが、返礼品に加えて各サイトから「ポイント」がもらえるところもあります。
例えば「楽天ふるさと納税」を使って寄付すると最大30%相当の楽天ポイントがもらえます。
また、「ふるなび」など、Amazonギフト券を貰うことができるサイトもあります。
税金が控除される
ふるさと納税は「返礼品」がもらえる上に税金の「控除」を受けられるというメリットがあります。
寄付をした合計金額から2,000円を差し引いた額が、すでに納めた所得税や翌年納める住民税から控除されます。
例えば30,000円を寄附して「ワンストップ特例制度」を活用した方は、翌年6月から1年間かけて住民税から28,000円が差し引かれる(本来納める税金から引かれる)ことになります。
好きな自治体に寄付できる
ふるさと納税の寄附先は、全国の自治体から自由に選ぶことができます。
生まれ育った場所や、以前に家族でいった旅行先はもちろん、返礼品を通して興味を持った自治体に寄付をする方も多いです。
寄付金の使い道を指定できる
自治体に対して寄附金の使い道を指定できるのも「ふるさと納税」の魅力のひとつです。
「子育て環境の整備」や「医療・福祉」、「自然の保護」や「動物愛護」など各自治体は寄附金の使い道を明らかにしており、寄付を行う際に寄付金の近い道を自分で指定し申し込むことができます。
自分が本当に応援したい自治体に、寄付したお金の使い道を選べるのが最大の魅力です。
ふるさと納税の注意点とは?

受けられる還付・税額控除には限度額がある
ふるさと納税は、自己負担金の2,000円を超えて行った分の寄付が所得税では還付、住民税からは控除されるという特徴があります。
ただし、対象となる額には所得金額や家族構成等によって決まる上限があり、その上限を把握しておく必要があります。
詳しくは、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」で給与収入と家族構成、寄附金額を入力して、寄附金控除額を計算(シミュレーション)シミュレーションできるエクセルのシートを用意していますので、確認してください。
寄付金控除額の計算シュミレーション
確定申告を行う必要がある
2015年から施行されているワンストップ特例制度を利用する場合を除き、ふるさと納税による寄付金控除を受けるためには確定申告を行う必要があります。
ふるさと納税の税還付のための手続きは必要?
では、ふるさと納税して税金を還付してもらうにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
確定申告を行う場合
ふるさと納税をしてお礼の品をもらった後、「確定申告」をすると、所得税と住民税の軽減が受けられます。
ふるさと納税により軽減される税金については、その年の所得税額から還付を受け、住民税については翌年の住民税支払額が少なくなります。
原則として、確定申告を行わないと税金の軽減は受けられません。
しかし「確定申告は面倒だから、ふるさと納税はやりたくない」という方もいるでしょう。
そのような方のために、「ワンストップ特例」という制度があります。
「ワンストップ特例」制度
ワンストップ特例とは、確定申告を行わなくても、ふるさと納税による所得税、住民税の軽減が受けられる制度です。
寄付をした後に、寄付先へワンストップ特例制度の申請を行うだけで、面倒な確定申告が不要になります。
しかし、ワンストップ特例を利用するには以下の2つの条件があります。
・もともと確定申告が不要の方
給与をもらっている方で年末調整しか行っていない方は、ワンストップ特例を利用できます。
なお、年収が2,000万円を超える方や、2か所以上から給与をもらっている方は、確定申告が必要となりますので、ワンストップ特例は使えません。
・ふるさと納税による寄付先が5か所までの方
ふるさと納税による寄付先が1年間で5自治体までの方は、ワンストップ特例を利用できます。
6か所以上の方は確定申告が必要になります。
確定申告をするのが面倒という方は、寄付先を5自治体までにして「ワンストップ特例」を利用してふるさと納税をするとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
ここまで、、20~30代が資産形成や運用を考え始めていくうえで、20~30代でもできる税金対策として人気の「ふるさと納税」とは何か、ふるさと納税はなぜ利用した方がいいのか、「ふるさと納税」のポイント・メリット、注意点などについて解説してきました。
寄附金は、地方自治体に約70%、お礼の品を提供する事業者に約30%の割合で分配されます(手数料をのぞく)。
この寄附金を、地方自治体は地域の事業資金として活用し、お礼の品元の事業者は自社の地域産業に活用します。
こうして、皆さんの寄附により、地域事業や地方産業の発展が進んでゆくのです。
寄附をする支援側にとっても、地方自治体にとっても、いいことづくめのふるさと納税。
20~30代でも気軽にできる税金対策として、人気が高まっているのが「ふるさと納税」です。
資産形成や運用を考え始めている皆さん、この機会にぜひ、始めてみませんか。
最後までお読みいただきありがとうございました。