不動産

不動産賃貸業で使う勘定科目

不動産所得がある人は確定申告による納税が必要となります。また、事業や不動産貸付などを行う人すべての人は、2016年1月から記帳・帳簿などの保存が義務化されました。

確定申告には白色申告と青色申告の二つの方法がありますが、白色申告よりメリットが大きい「青色申告」をお勧めします。

****青色申告の特徴と申し込み方法****

正しく記帳するには、事業活動の入出金などの取引を、正確に勘定科目に振り分けて帳簿に記帳する必要があります。ここでは、賃貸管理業で使用する主要な勘定科目を紹介します。

 

仕訳と借方・貸方

勘定科目を実際の取引に基づいて記帳する場合、「借方」「貸方」に記載することを「仕訳」といい、正確に仕訳することが重要となってきます。

 

借方と貸方

帳簿は、その記録からどのような取引が行われたかが、一目でわかるようにしておかなければなりません。そのために、帳簿に記録するためのルールがあります。

帳簿は一般的に下記のような形式で左右に取引金額などを記載するようになっています。65万円の青色申告特別控除を受けようとする場合には、この複式簿記による帳簿の作成が必要です。

借方 貸方
日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要
4月1日 支払手数料 1,000 預金 1,000 振込手数料

帳簿の左側を借方、右側を貸方といいます。取引を記録する際に、勘定科目を借方・貸方のいずれに記載するかで意味が分かります。

借方に記録する場合

・資産の増加(賃貸料などによる預金の増加など)

・負債の減少(借入金の返済など)

・純資産の減少(元入金を事業主へ返金したことによる減少)

・費用の発生(管理手数料の経費など)

借方に記録する場合

・資産の減少(経費の支払による現金の減少など)

・負債の増加(銀行借入による債務の増加など)

・純資産の増加(事業主からの元入金の増加)

・収益の発生(賃貸料の発生など)

 

貸借対照表と損益計算書

すべての勘定科目は、資産・負債・純資産・収益・費用の5要素のいずれかに該当し、それぞれ借方・貸方に分類できます。
分類した勘定科目を合計したものが、「貸借対照表」と「損益計算書」となります。

貸借対照表は事業全体の財政状態を表し、資産・純資産・負債を用いて表現されます。
損益計算書は事業で得た儲けがいくらかを表し、収益・費用を用いて表現されます。

 

 

勘定科目

不動産賃貸業で使用する勘定科目の一例を示します。

契約書や領収書を見て勘定科目が判断できれば青色申告ができることになります。皆さんの使用する会計ソフトで初期登録されていない勘定科目がある場合は追加が必要となります。

 

資産勘定

勘定科目 内容
現金 紙幣や硬貨などのお金
預金 銀行やその他金融機関に預け入れた普通預金
前払費用 火災保険料など翌年以降分を前払したもの
土地 事業で使用する場合の土地

購入時の仲介手数料と固定資産税の清算金は取得価格に含めます

土地建物一括の場合は固定資産税の金額等で按分します

建物 事業で使用する建物

購入時の仲介手数料と固定資産税の清算金は取得価格に含めます

土地建物一括の場合は固定資産税の金額等で按分します

建物付属設備 電気設備、給排水設備、ガス設備などの建物に付属している設備
工事器具備品 事業で使用するパソコンや工具などで10万円以上のもの
車両運搬具 事業で使用する車
事業主貸 事業資金から個人に引き出したお金

 

負債勘定

勘定科目 内容
借入金 金融機関などから借入したお金
未払費用 本年分の経費で未払の費用
敷金 入居者から預かっている敷金
前受金 前払された賃貸料など
事業主借 個人のお金から支出した事業資金や経費など

預金通帳の利息

 

資本勘定

勘定科目 内容
元入金 開業資金(自己資金)

※事業主貸と事業主借は、年度末に相殺されて、その差額が翌年期首の元入金に繰り入れられます

 

収益勘定

勘定科目 内容
賃貸料 賃貸料、共益費
礼金 入居したときに受け取る返還不要な礼金
更新料 賃借契約により受け取る返還不要な権利金
雑収入 自動販売機の収入など適当な勘定科目がない場合に該当

 

費用勘定

勘定科目 内容
租税公課 収入印紙、不動産取得税、登録免許税

固定資産税、都市計画税、個人事業税など

損害保険料 貸付用建物の火災保険料、地震保険料

業務で使用する自動車保険料

修繕費 建物、設備などの維持、修理するための費用
減価償却費 固定資産を使用することに伴い償却する費用
借入金利子 借入したお金にかかる利子
地代家賃 建貸付用建物などの敷地の地代
給料賃金 従業員を雇用し、労働の対価として支払った費用
外注工賃 管理委託した外注先に支払う費用
水道光熱費 水道代やガス代、電気代などの費用
通信費 電話代や切手代、インターネット代などの費用
広告宣伝費 入居者募集にかかる費用
旅費交通費 電車代、バス代、タクシー代などの交通費
消耗品費 事務用品や支払額が10万円以下のもの
接待交際費 取引先との飲食代、慶弔費用など
支払手数料 銀行の振込手数料や司法書士報酬の支払い費用
車両費 ガソリン代、車検料、駐車場代などの費用
新聞図書費 新聞や業務に使用する本などの費用
諸会費 所属団体の年会費など
雑費 どの勘定科目にも一致しない場合で重要性も高くない費用

 

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